調べ物メモ

「スーパーマーケット観光」が海外で最新トレンドに!観光名所より地元スーパーが人気の理由

はじめに

「パパ、旅行に行ったらまずどこ行く?」

先日、子どもたちにそう聞かれて「まずはコンビニかな」と答えたら、2人とも「え、観光しないの?」と笑っていました。でも実はこれ、今まさに海外で“最先端”の旅行スタイルらしいのです。

調べてみると、海外の旅行メディアでは「グローサリー・ツーリズム(grocery tourism)」あるいは「スーパーマーケット・ツーリズム」と呼ばれる旅行トレンドが、2026年に入って一気に注目を集めていました。エッフェル塔でもコロッセオでもなく、地元のスーパーマーケットやコンビニを目的地にする旅行者が増えているというのです。日本ではまだあまり知られていないこの話題、家族旅行好きとしてはとても気になったので詳しく調べてみました。

海外のスーパーマーケットの陳列棚。シリアルやビスケットなどの商品が値札とともにびっしりと並んでいる
見慣れない商品が並ぶ棚を眺めるだけでも、その国の食生活が見えてくる(写真: Wolfmann / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

何が起きている?何が話題になっている?

有名な観光スポットを巡るのではなく、現地のスーパーマーケットに立ち寄り、棚に並ぶ商品やパッケージ、値段を眺めて回る——そんな過ごし方が「一番リアルな異文化体験だ」として支持を集めているそうです。

数字でも裏付けがあります。ホテル大手ヒルトンが調査会社Ipsosと共同で14カ国・約1万4,000人の旅行者を対象に行った「2026年トレンドレポート」(“The Whycation”)によると、77%の旅行者が「現地の食べ物や飲み物を試すために地元のスーパーを巡るのが楽しい」と回答しています。

同じ調査では、48%が滞在先で自炊をするとも報告されています。単なる「見物」ではなく「暮らすように旅する」流れの一部として広がっていることが分かります。

面白いのは、同じ調査で79%が「慣れ親しんだメニューがあると安心する」とも答えていることです。新しいものを試したい気持ちと、知っている味にホッとする気持ち。旅行者の中では、この2つが同時に存在しているわけです。子連れ旅行を思い浮かべると、この矛盾はとても納得がいきます。

なぜ話題になっているのか

背景として複数の理由が挙げられていました。

1つ目は観光地の値上がりです。象徴的なのがパリのルーヴル美術館。2026年1月14日から、EU/EEA圏外からの観光客の入場料を22ユーロから32ユーロへ、45%値上げしました。日本からの旅行者もこの対象です。家族4人なら差額だけで40ユーロ、日本円にすると数千円が上乗せになる計算です。

背景には、老朽化した施設の改修に11億ユーロが必要という事情や、フランスの文化予算の削減があるとされています。値上げによる増収は年間1,750万ユーロの見込みだそうです。

こうして有名観光地の「入場するだけでかかるお金」が増えていく中で、無料で気軽に立ち寄れるスーパーに魅力を感じる旅行者が増えている、というわけです。

2つ目は民泊(Airbnbなど)の普及です。キッチン付きの宿泊先が当たり前になったことで、「自炊のための買い出し」がそのまま「観光」になったという指摘があります。宿にキッチンがあれば、スーパーは“必要な場所”から“わくわくする場所”に変わる、というわけです。

3つ目はSNSとの相性の良さです。見慣れない商品パッケージ、カラフルな陳列、その国ならではのお菓子コーナーなどは、写真や動画に撮って共有したくなる被写体。TikTokやInstagramで「〇〇のスーパーで買ったもの紹介」といった動画が定番の投稿ジャンルになっているとも言われています。

詳しく解説:どんな国のスーパーが人気?

海外メディアでは、日本と韓国のスーパー・コンビニが「グローサリー・ツーリズムの聖地」として紹介されることが多いようです。

日本のコンビニの密度は、あらためて数字で見ると納得します。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)によると、セブン-イレブン・ファミリーマート・ローソンの大手3チェーンだけで51,702店(2026年1月時点)。内訳はセブン-イレブンが21,760店、ファミリーマートが16,100店、ローソンが13,842店です。10店舗以上のチェーン全体では約5万7,000店規模になります。

日本のコンビニの店内。おにぎりやサンドイッチなどがすぐ手に取れるように陳列されている
日本のコンビニの店内。この「当たり前」が海外からは観光資源に見えるらしい(写真: amanderson2 / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons)

街のいたるところに店舗があり、しかも品揃えが豊富で商品の完成度が高い。卵サンドやおにぎりのような定番商品が「日本らしい味」として外国人観光客の間で人気になり、それがSNSで拡散してさらに人が来る、という循環が起きているようです。ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」も、インバウンド観光客を意識した店舗づくりを進めていると報じられています。

隣の韓国も勢いがあります。K-POPやドラマ人気で興味を持った旅行者が、コンビニで「ドラマに出てきた食べ物」を探し歩く様子がSNSでよく紹介されているそうです。

ヨーロッパでは「スーパーマーケット・サファリ」という呼び方も登場しています。スペインの大手スーパーやロンドンの老舗食料品店などが、旅行系メディアで“訪れるべき場所”として紹介される例が出てきました。

日本から見たポイント

この話題、日本に住む私たちからすると少し不思議な感覚もあります。「近所のスーパーが海外から見たら観光資源」というのは、なかなか実感が湧きません。でも逆に考えると、これは私たち自身が海外旅行するときにも使えるヒントだと思いました。

有名観光地を1日で詰め込む弾丸旅行は、小さな子ども連れだと正直しんどい場面も多いですよね。移動続きで機嫌が悪くなったり、行列に耐えられなかったり。そんなとき、「午前中は観光地、午後はホテル近くのスーパーをのんびり探検」というプランなら、体力的な負担も少なく、子どもも「知らないお菓子探し」を楽しめそうです。冷蔵ケースの中身を見るだけでも、その国の食生活が垣間見えて、ちょっとした社会科見学にもなります。次の家族旅行では、行き先のスーパー巡りもスケジュールに組み込んでみようと考えています。

また、日本のスーパーやコンビニが海外からこれだけ注目されているという事実は、子どもに「自分たちの当たり前が、他の国の人からすると特別に見えることがある」と伝えるきっかけにもなりそうです。

子連れでスーパー観光を取り入れるなら、次のようなポイントを意識すると良さそうです。

  • 時間を区切る:目的なくウロウロすると子どもが飽きてしまうので、「10分だけお菓子コーナー探検」のように時間を決める
  • お小遣い制にする:現地通貨の小銭を子どもに持たせて「好きなお菓子を1つ選んでいいよ」にすると、算数の勉強にもなって盛り上がる
  • 写真日記のネタにする:買った食べ物を並べて写真を撮っておくと、帰国後に旅の思い出をまとめる際のちょうどいい題材になる
  • キッチン付きの宿と組み合わせる:買ったものをその晩の夕食やおやつにできると、子どもも「自分で選んだ」達成感を持てる

まとめ:今後どうなりそう?

  • ヒルトンの2026年トレンドレポートによると、77%の旅行者が「地元スーパー巡りが楽しい」と回答、48%が滞在先で自炊している
  • 背景には観光地の値上がり(ルーヴルは2026年1月から非EU圏の入場料を45%値上げ)、民泊普及によるキッチン付き宿の増加、SNSとの相性の良さがある
  • 日本のコンビニは大手3チェーンだけで5万店超という密度で、「聖地」として名前が挙がっている

観光地の入場料や行列がこれからも増えそうな流れを考えると、この「スーパー観光」の人気はしばらく続きそうです。派手さはなくても、お金をかけずに“その国らしさ”に触れられる過ごし方として、子連れ旅行との相性も良いのではと感じました。次に家族で海外に行く機会があれば、有名スポットの合間に、ぜひ現地のスーパーにも寄り道してみたいと思います。

(2026年7月時点の情報をもとに執筆しています)