旅と音楽

家族旅行の帰り道に。夜のドライブで聴きたい大人ソウル&R&B 5選

はじめに

家族旅行の一番好きな時間はどこか、と聞かれたら、実は「帰り道」と答えるかもしれません。

遊び疲れた子どもたちが後部座席で眠りに落ちて、車内が急に静かになる瞬間。昼間の賑やかさが嘘のように、聞こえるのはロードノイズと隣の妻との小さな話し声だけ。そんな夜の高速道路には、昼間のヒットソングではなく、しっとりした大人のソウルがよく似合います。

今回は、そんな「子どもが寝た後の夜のドライブ」のためのソウル/R&Bを5曲選びました。それぞれSpotifyのプレイヤー付きなので、この記事の中でそのまま試聴できます。気に入った曲があれば、次の旅の帰り道のプレイリストに加えてみてください。

1. Lianne La Havas「Green & Gold」

まずはイギリス・ロンドンのシンガーソングライター、Lianne La Havas(リアン・ラ・ハヴァス)から。2015年のアルバム『Blood』に収録された曲です。

ギリシャ人の父とジャマイカ人の母を持つ彼女が、鏡の中の自分と自身のルーツを見つめる、というテーマの曲。温かみのあるギターの音色と、伸びやかなのにどこか親密な歌声が、夜の車内の空気にすっと溶け込みます。サビにかけてじわじわと熱を帯びていく展開は、疲れた体に静かに効いてきます。

2. Lianne La Havas「Can’t Fight」

同じくLianne La Havasからもう1曲。2020年のセルフタイトルアルバム『Lianne La Havas』に収録されています。

「抗えない気持ち」を歌った曲で、軽やかに跳ねるギターのリフが心地よく、深夜のドライブでも眠気を誘わない絶妙な温度感です。前の「Green & Gold」から続けて流すと、同じアーティストの5年の間の変化も感じられて面白いはず。個人的には、パーキングエリアでコーヒーを買って走り出した直後に流れてほしい曲です。

3. Angie Stone「Wish I Didn’t Miss You」

3曲目は少し時代をさかのぼって、ネオソウルを代表するシンガーAngie Stone(アンジー・ストーン)の代表曲。2001年のアルバム『Mahogany Soul』に収録されています。

1972年のThe O’Jays「Back Stabbers」をサンプリングしたトラックの上で、去った相手への未練を歌う——切ないのにグルーヴは軽やか、という大人にしか出せない味わいの1曲です。20年以上前の曲ですが、夜の車内で流すと全く古さを感じません。

Angie Stoneさんは2025年3月、ツアー移動中の交通事故で63歳で亡くなりました。この曲を聴くたびに、彼女が残したものの大きさを思います。

4. Libianca「People」

4曲目はぐっと新しく、カメルーンにルーツを持つアメリカ・ミネソタ州出身のシンガー、Libianca(リビアンカ)が2022年末にリリースした世界的ヒット曲です。

ゆったりしたアフロビーツのリズムに、つらい時期を過ごす自分に「周りの人は気づいてくれているだろうか」と静かに問いかける歌詞が乗る、心に触れる1曲。SNSをきっかけに世界中でチャートインし、彼女の名前を一気に知らしめました。夜のドライブで聴くと、リズムの心地よさと歌の切実さが同時に染みてきます。

5. Libianca「W.O.M.S (Weight On My Shoulder)」

最後もLibiancaから。タイトルの「W.O.M.S」は「Weight On My Shoulder(肩にのしかかる重み)」の略で、2023年にナイジェリアのラッパーBlaqbonezとガーナのシンガーMOLIYを迎えてリリースされました。

「People」と地続きの、抱えているものの重さを歌う曲ですが、3人の声の掛け合いが入ることで景色が広がり、少し前を向くような聴後感があります。旅の終わり、家まであと30分——というあたりで流れてくると、旅の余韻と日常へ戻る気持ちが静かに切り替わっていく。プレイリストの締めにぴったりの1曲です。

まとめ

夜のドライブのための5曲、いかがでしたか。

  • Lianne La Havas「Green & Gold」 — 温かいギターと伸びやかな歌声で夜のスタートに
  • Lianne La Havas「Can’t Fight」 — 軽やかに跳ねる、眠気を誘わない絶妙な温度感
  • Angie Stone「Wish I Didn’t Miss You」 — ネオソウルの名曲。切なさとグルーヴの共存
  • Libianca「People」 — アフロビーツに乗る、心に静かに触れる世界的ヒット
  • Libianca「W.O.M.S」 — 旅の余韻を日常へつなぐ、締めの1曲

どれも派手ではないけれど、静かな車内でこそ真価を発揮する曲ばかりです。子どもたちが寝息を立てる後部座席をミラー越しに確認して、音量を少しだけ下げて。そんな夜の時間が、家族旅行のもうひとつのハイライトになりますように。